七転び八起き

「七転び八起き」という言葉がある。
あれは冷静に考えると、少々おかしい。想像してみてもらいたい。あなたは、道を歩いていて転んだ。そして起き上がった。また、転んだ。起き上がった。
……さて、こうして七回転んだ後、あなたは何回起き上がっているでしょう。
そう、七回なのである。「八起き」なんて出来ないのだ。
この矛盾はどこからやってきているのか。
私は、友人からその謎の答えを聞いて大いに納得した。その答えとは「最初は転んでいる」というものだ。
そう、最初は既に転んでいる状態から「七転び八起き」はスタートするのだ。そう考えれば、起きる→(転ぶ→起きる)x7で、七転び八起きになる。
「七転び八起き」。一見、何度も起き上がれという単なる教訓のような顔をしているが、実はこの言葉は、人生は転んだり起き上がったりの繰り返しだが、それでもみんな最初は転んでいたという、そういう話だったのだ。