http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD4583/
暗緑色を基調に構成された冒頭シーン。心理の隙間と暴力へ至るギリギリの重い空気を表現したところから物語はスタートする。
冒頭シーンに限らず、暗緑色と薄青い夜の色が基調となったシーンは、それぞれを切り出しても美しく感じられるという、ホラーでありながら芸術性の高さが目立つ作品だった。
ストーリーとしては、刑務所での心理カウンセラーという立場の主人公が、ある日を境に突然逆の立場にたたされていることに気づくという、ホラーというよりミステリー、サスペンス的な物語の引き込み方が非常に巧い。しかし、それが非常に巧かっただけに、後半部分で一般的なサスペンス的な展開なってしまったことが残念である。
だが、ベースとして、見せ方が上手いため、それほど陳腐な感じを与えずに最後まで見ることができ、全体としては良質な作品となっている。
ホラーとしての出来栄えは、いきなりバン!と何か出てきて驚かせるのではなく徐々に近づいてくる闇に対する恐れのような恐怖感を感じさせてくれるという意味でよく出来ている方だと思う。まあ、私はホラーは怖がるために見るわけではないので、このあたりの評価はいいかげんかもしれないが。
DVD版では「音声解説」というものが付録として、映画をフルスケールで流しながら背景で、監督たちがそのシーンの裏話をするようなものが付いていてお得である。
まあ、かなりの暇人か、レンタルではなくDVDをちゃんと購入した人でないと見る根性は無いだろうが。