ニコニコ動画難民受け入れ先「字幕.in」

http://jimaku.in/
元々は、動画に字幕を入れて楽しもうというサービスだったが、ニコニコ動画の勢いに引っ張られてコメントを入れるサービスも付け加えた。……と思ったらニコニコ動画YouTubeからアクセス禁止を喰らって、難民化したニコニコ動画ユーザが大量に流れ込んできたというサービス。
しかし、ここを見るとゆるゆるしたサービスだと思っていたニコニコ動画が、いかに的確なバランスの元にコメント付け機能をつけていたのかというのがよく分かる。
字幕.inの場合は、色付けがないのにコメントが大量に入るし、スピードが遅いのでコメントのメリハリがなくなってしまっているのだ。ニコニコ動画でも最上位の動画ではそういう状態だったが、ある程度コメントがついた動画では、ほぼ動画の見所がコメント数で判断できてしまうという絶妙なコメント付けが自然に行われる状態だった。(これは神格化しすぎかもしれないけど)
特にコメントスピードが遅いというのは致命的である。コメントを入れるというのは動画のある瞬間に対して入れるものなのだがコメントの流れるスピードの遅さは「今」という瞬間にコメントを入れるのではなく、コメントを入れた数秒後にぬるーっと流れてきて、さらに数秒かけてぬーっと去っていくというのが字幕.inのコメント機能だ。数秒とは言うものの、動画における数秒というのはかなりの時間である。特にOPテーマ系の動画では、これだけの時間が過ぎればほぼ確実に場面は全く別のシーンに移ってしまっている。
これではコメントを入れたい瞬間への焦点が合わなくなり、ユーザの意識と実際に表示されるコメントの表現するものが変わってしまうではないか。


いくつか動画を見ていくと、だんだんこのまどろっこしいコメント仕様はわざとだという気がしてきた。
あくまでも動画.inの価値はコメント中心ではなく字幕にあるのだ。そして、その字幕を殺さないように
「単なるコメント」として利用できるように設計されたものが、現在の字幕.inの仕様なのではないだろうか。
それに対して、ニコニコ動画の仕様は動画を同時に見ているという一体感を生み出す、いわば祭のための仕様。
これは違う性質のものを求めているだけで、ひとえにどっちが優秀だとは言い切れないという気がしてきた。


と言うわけで、字幕.inでループ系や、サビを皆で合唱して盛り上がる系の動画は流行らないなあと思った。
逆に合成カオス系はこっちの方が表現に適した媒体なのではないだろうか。表現力が高く、一人によって作られていることで安定した歌詞が、コメントに押し流されないというのは良い。


http://jimaku.in/w/jDx2-B3BcnY/D01t_CVBwVQ
これなんかもそうだが、英語分からない方が逆に純粋に楽しめるという、リテラシー面で通常と逆の法則が成り立っているサービスという所は、注目に値する。
ナチュラルに英語が分かる人は、頭をわざと「日本語モード」に切り替えて楽しむんだろうか。


あと、ネタじゃない字幕を普通に入れるというニーズも確かに存在すると思う。
それに対するレスポンスを返す事で、翻訳者への対価(お金とは限らない。この場合は感謝の気持ち)を払うという意味でも、現在の突っ込み仕様は理にかなっていると思う。