うえお久光「悪魔のミカタ10 It/スタンドバイ」

今回は、6と7で描きたかったが結局普通の小説形式になってしまったという連作形式になっている。とは言っても、前後の話によってはかなり関連性が強いものも多多存在するので、完全に成功しているわけではないが。
10巻は、8、9巻のコーンウォールさん関連よりもさらにItそのものとは関係ない話である。それよりも、吸血鬼「ザ・ワン」を中心としてその開放に至るまでの話と、その周辺の時系列に属するパズルのピースが並べられているというというものだった。
Itシリーズはさすがにストーリーの中心的存在となるだけあって、終点に向けて様々な伏線が折り重ねられていく様がよく分かる。終章である13巻までずっとこの調子だとすると燃えに燃える展開だと言わざるを得ない。
ただしあまりの容量に、燃えつきそうで怖いという側面があるのも確かだ。
悪魔のミカタ自体の続編シリーズである「666」が創刊され、そちらにも期待が持てるところだが、まだまだ13巻までじっくりと読み進めて行きたいところである。