うみねこのなく頃に 散

読了。
ああ、ひぐらしで解かっていたことだけれどこれは推理小説ではなく娯楽小説で、竜騎士07推理小説家ではなくエンターテイナーだ。
いいじゃないですか、論理的には破綻していてもエンターテイメントとして成立している展開。
一見論理的なバトルに見えるが実は心理的な姿勢の優劣を競っているというあたり、ジョジョの奇妙な冒険に通じるものがある。
以降ネタバレ。
とりあえず、カッキリ嵌った気がする。うみねこのパズルのピースが。
書斎にあるのは幻覚を引き起こす揮発性の薬物、そして金蔵の遺体にもそれがたっぷりと含まれている。
その金蔵の遺体を燃やすことで、屋敷中に幻覚を引き起こす薬物が広がった。
これが、今回の事件のベースラインだと思う。


「ウィルスだろうと薬物だろうと病気だろうと、未知の要素である限り、ノックス第四条に違反する」説得力ねええええええ!
違反する気満々のクセに、何を言い出すかなこの作者は。
そもそもヒントも何もあったもんじゃない叙述トリックの次点で、既に違反してるんじゃないか?ノックスの十戒に乗っ取ってない次点で『正統な推理ものとして終わり』と言ってるだけで魔女のお茶会における人間側の敗北とは言ってないしな。
いつ国家の秘密組織が暗躍して特殊部隊が突入してきてもおかしくない。そんな雰囲気がいいんじゃねーか。


今回はルール違反をルールとして押し通しているだけに、話の矛盾が酷すぎる。
オートロックの鍵の音を聞き逃すことがありえないのは赤文字で語られる絶対的な真実で、余命数ヶ月を宣告された老人が3階の窓から脱出するのは通るのかよ!
いままでのゲームでは両方とも「ありえないとは言えない」で通してたから、まだ論理的に破綻してなかったのだが、今回のケースはもう単に声が大きいヤツが勝ってるだけじゃないか。
探偵役はさらっと悪魔が居ない証明をしましたと言って、背後の魔女がそれを赤で補足するし。
なぜかお茶会パートの赤発言を現実パートのやつらが無条件で信じるし。
ノックス、ノックス言うわりに、今までなんの伏線も無かった「黄金の真実」で物語の鍵になる謎を切り返すし。
もうね、納得いかない度では、いきなり魔法バトルが展開したep2を上回るわ。


"ベアト(竜騎士07)は、俺(ゲームプレイヤー)に解いて欲しいと願って、解けるようにこのゲームの謎を生み出した"……か。
うみねこ/ひぐらしにおいて、解ける、解けないはゲームの本質に関係ない。ゲームの謎について様々な解釈を戦わせ、それが楽しかったかどうかが問題なんだ。そして、その議論に「終わり」を与えないようにするために、あえて全てのピースを渡さないのは正しい。
というのが私の考え。


戦人は魔術師になったタイミングで、金蔵が着てたようなマントをしている版の立ち絵に切り替えて欲しいとこだったな。