日日日「ささみさん@がんばらない」

読了。
表紙とタイトルで一目惚れ購入。購入した後に気付いたけど、ひいきにしてる作家の日日日が著者でした。
あと、ネタバレあり。
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裏表紙の説明を見て、なんですかこの私の心のど真ん中を打ち抜くためにあるような設定は!……と思って手にとりましたが、全然違いました。ささみさんは、がんばります。
普通ならばここで想像してた内容と実際の内容のギャップに落胆してあまり面白くないという結論に至ってしまいがちなのですが、著者は平成時代の規格外ラノベ作家、日日日さん!そのマイナス点を補って有り余る良作を、見事に作り上げてくれていました。


最初に書いたように無気力な日常が病的に描かれるのかと勘違いしていたが、非人な力を持つラブコメキャラに振り回される兄をコミカルに描くのがメイン。そして、物語に引き込まれたところで、ちょっと特殊だけど普通な人間の範囲である「ささみさん」が引きこもった自室から安楽椅子探偵よろしく世界設定を読み解いていくんだけれど、だんだんささみさん自信も物語の中心に関係してきて……、という作品です。
特に世界とささみさんの関わり方が3つの章で徐々に変わってゆき、エンドロールに繋げる展開が見事。


厚さは300ページに満たない少し短めと言っても差し支えない枚数なのに、大満足のボリューム感。この設定だけでシリーズが出来そうな程なのに、詰め込みすぎだったり、過食感はなく、満足感はしっかりと与えてくれた満足の一作でした。