フラクタル

視聴。(今更ながらに)
……いや……、これは……。惜しいところで名作に成れてない作品!
フラクタルシステムと呼ばれる、ナノマシン等によって人類の生活保障をしてくれる夢のシステムが完成して1000年、既にシステムを修理する技術も失われた中でその崩壊の兆しが見えはじめた世界が舞台。
1話や最終話で見えた日常の雰囲気といい、終盤までの心踊る冒険といい、毎回続きが気になるラストの引きといい、名作たりうる要素は十分揃えてる。
ただ最後の方にストーリー詰め込みすぎで、主人公の成長だとか、決死の想いだとかが演劇でも演じてるかのような薄っぺらいものになってしまってることで、大きなマイナスポイントがついてしまったという感じだ。「終わりよければすべてよし」の逆を行ってしまっている。
あと、謎を残しすぎ。風呂敷は無理やり畳んだが、えらく雑なたたみ方で「鍵って結局なに」とか「ディアスは何だったんだ」とか「電波塔の男はお父さんっぽいが、あの短期間に何があった」とかいろいろと気になる点が残っている。
まあ世間では失敗作扱いされているが、総合的に見て佳作は超える作品だと思える。



問題は

監督の山本寛は、「この作品が失敗すれば引退も辞さない」と発言する程の並々ならぬ意気込みと決意を語っていた。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%AB_%28%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%29
とか言っちゃったことだと思う。黙って作品だけ出してりゃ「隠れた名作」的ポジションになったはずなのに、この発言と前述の大きな失敗をしてしまったことが合わさって、「コケた作品」扱いになってしまったのではなかろうか。
同期に規格外の化物アニメ「まどか☆マギカ」が居たことも不幸なめぐり合わせだった。あっちは後半失速するどころか、加速度的に高まる視聴者の期待を受けきることに成功しているだけに、比較されたらそりゃあひとたまりもない。