仕様から予想する、当初のモンハンの姿

モンスターハンターというゲームは、現在では「狩り」というよりも「対決」を全面に押し出したゲームになっている。しかし、細部の仕様を見ると企画段階ではそうではなかったのでは、という匂いを感じさせるのでそのあたりを考えてみた。



結論から言うと、企画……というか無印の開発のかなりの段階までは、モンスターハンターは大型モンスターに見つからないように初撃(無条件で転ぶような効果がある)を入れることと、今のような普通の戦闘を行うという二本立てのゲームだったのではないかと思われる。
その理由の中でもっとも大きいのは、「しゃがみ移動」「アナログスティックを浅く傾けることで行う微速移動」という仕様が存在することだ。今のゲーム性を考えるとこの2つの行動は必要ない。事実、似たゲーム性を持っているゴッドイーターにはこの2つが無いが特に不自由な面は見られない。
では何のために存在するのかというと、メタルギアソリッドで言う「カムフラージュ率」のために存在するのでははないかと思うのだ。カムフラージュ率は移動速度や周囲の環境(草むらか、平原かなど)によってリアルタイムに変化していく数値で、この数値が高いほど敵の近くでも見つからず、非常に高い状態ならば数歩程度の距離でも気付かれないというものだ。企画時のモンハンでは、これを利用して大型モンスターに気付かれずに近寄って攻撃を成功させるというプロセスがあったのではないかと思われる。

ちなみに、そう考えると納得できる仕様が他にも多くある。例えばこちらが大型モンスターを視認していても容赦無く発生する発見ひるみ。これは、忍び寄って初撃を入れることに失敗したペナルティとして用意されていたと考えると納得ができる。無駄に視界を悪くする草むら、ほぼ機能していない隠密スキル、(初代では)エリア外から大型モンスターの向きと状態がわかること、非発見状態の大型モンスターを強制的に発見状態にさせる角笛の存在なども同様である。

この仕様を組み込むチャンスであった「MHG」「MH2」では、戦闘をより強化する方向性に進んでしまい、シリーズとしての形が固まってしまったので今後モンハンでこの仕様が復活することはないと思われる。
それは残念だが、どこかで「メタルギアソリッド的な要素の強いモンハン」のようなゲームをやってみたいものだとも思う。