金融機関が採用しようとしているブロックチェーン技術とは何か?

http://jp.techcrunch.com/2015/10/19/blockchain/
http://btcnews.jp/blockchain-hype/
http://doublehash.me/private-blockchain-bank/
金融機関がブロックチェーン技術を導入しようという話を聞くようになりこの文脈での「ブロックチェーン技術」とは何なのかという疑問があったが、なんとなくわかったのでまとめ。
結論から言うとこの文脈の「ブロックチェーン技術」という単語の意味は、データベースの代替を目的とした技術のことと、複数の金融機関間の資産移動を多数決で合意することを目的とした技術の2種類がごちゃまぜで使われている。

データベースの代替を目的とした技術

これについては、ブロックチェーンを使うメリットが専門家にも分かっていないようなもので、おそらく今熱い技術ワードだから「ブロックチェーン」という単語を使っているだけのものだと思われる。
そもそもブロックチェーンは追記しか出来ないデータを扱い、その内容から複数バージョンのどれが「正しいデータ」かを機械的に決められる技術なので、中央で集中的に更新していくことが求められるデータベースでそれを使っても意味が薄い。
あとブロックチェーンにデータを追加する場合、処理をするノードは直前のブロックの情報が必要なので、ノードの数が増えても処理速度は上がらないはず。(可用性は上がるが)

複数の金融機関間の資産移動を合意することを目的とした技術

こっちは不特定多数が参加するビットコインネットワークと違って、信頼できるノードでのみ構成されていることを前提としたネットワークで合意を形成するための方法として、ブロックチェーンを使おうというもの。こちらは有意義なものだと思われる。
ブロックチェーン内に記録された信頼できる参加者のみが、ネットワークに参加できる。
信頼できる参加者は、管理者の電子署名をもって追加や削除の訂正情報を追記していくことができる。
このとき「管理者」は必ずしも定められたユーザでなくてもよく、全参加者の半数以上の電子署名を含めば管理者として扱えるといった運用も可能。
全ノードは信頼できるため、プルーフ・オブ・ワークのような証明は行わず、高速に情報を書き込める(ブロックを追加できる)。
内容の合意も(偽の参加者を勝手に増やすといったことが出来ないため)単純に多数決で行える。
プルーフ・オブ・ワークのような証明が無いために自分が有利なように情報をコントロールしたチェーンがばら撒かれることは防げないが、決まった参加者しか存在しないネットワークなので、そのような行為を行った参加者は管理者によって参加者リストから削除されるだろう。