TENET テネット

視聴。
インターステラー」と同監督による時間逆行スパイアクション映画。
インターステラーは変に現実の相対性理論を打ち込んでくるので整合性に文句をつけたくなったが、本作は「時間逆行」という完全なウソを中心アイディアに据えたので逆に、時間逆行設定というルールの中での破綻はなくなってSFとして良い方向に行っていると思う。
インターステラーは現実と違うルールをオチに使い、テネットは現実と違うルールを前提に使った。
あとテネットは人間ドラマが描けていないという意見がネットにあったが、この作品の人間ドラマは映画で描かれる時間の範囲外にあると思う。
主人公がボスであることが明かされるのも、未来の自分はその指示を出すかどうか決められる立場にありながらニールを過去に送り出さざるをえないというドラマが待ち受けていることを視聴者に伝えるためのものだと思うのだ。
公式設定としてはアナウンスされていないが、キャットの息子がニールであるとすれば、親しくしていた子供が成長していくどこかの時点で「あっ、こいつニールじゃん」と気づく瞬間があるということで、その瞬間の主人公の心境を思うと本当に切ない運命を感じてしまう。