物質転送機で考える自我の問題

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パーフィットの思考実験に、地球から火星に瞬間移動できる転送機に入って火星に着いた人間は本当に私かというものがある。
地球の転送機にアンドレAが入って、火星の転送機からアンドレBが出てくるという状況は別の問題も示唆していると思う。
火星への転送が成立するなら、地球の転送機にアンドレAが転送機に入って、金星の転送機からアンドレCが出てくるという状況も問題なく成立する。
同様に、地球の転送機にアンドレAが入って、火星の転送機からアンドレBが出てくる。さらに金星の転送機からアンドレCも出てくるという状況も問題なく成立する。
このときの転送先は水星でもいいし木星でもいいし、なんなら未来や過去に他の銀河系にある転送機から偶然アンドレAと記憶の連続性をもったアンドレXが出力されてもいい。この転送先は無限に考えられるが、そのうちの1人だけは特別な意味を持った転送先となると思う。
それは地球の転送機に入って同じ地球の転送機から出てきたアンドレA'である。
これは「私がすぐその場で再構成されるパターン」と同一であり、我々が今まさに経験し続けている状況だ。

ではなぜ我々は再構成先のパターンとしてありえるアンドレB,C,D,E...以下無限に続くうちのどれかとして再構成されるのではなく、アンドレA'という特定パターンで再構成されつづけているのか?
自我が物理法則やコンピュータ・シミュレーションなどの計算結果から生じるものなら「私」はアンドレB以降のどれかであってもいい……というか、そうである確率の方が圧倒的に高いはずなのに実際には「私」はアンドレA'である。