支倉 凍砂「狼と香辛料14」

読了。
前巻までの章をまとめ、最後の旅の始まりを描く節目に相応しい名巻。
旅の終わりがはっきりとした形として現れ、ホロとロレンスのそれぞれの立場と感情とが交差する。一番良い選択肢と自分の感情が常に一致するわけでもない、そんな葛藤をウェットに描く前半と、エルサの言葉からなりふり構わずに自分の気持ちを優先させる道を模索する後半(というか終盤)のバランスが絶妙。
そしてそんな気持ちの裏側にあった、自分でも気付かなかった理由がXXXXだったなんていかにもロレンスらしい。
はにかみながら笑ってしまう、そんな満足いく読了感を与えてくれる巻だった。


豪華ではないけれど、満足のいく「ごちそうさま」が言える定食。プラス、デザート
最近続いていたハチミツ菓子のような甘い話もいいけれど、苦味もしっかりとした歯ごたえも満足いくまで味わえる満足いく作品でした。