我孫子 武丸「殺戮にいたる病」

読了。
バブル後期の猟奇殺人を扱ったミステリー。
猟奇殺人者の異常な心理も興味深かったのだが、バブルの時代と言うある意味異世界を描いている部分が予想外に楽しめた。一番大きいのは、個人が携帯電話を持っていないこと!確かに、確かにそうだったんだが、今となっては異世界の出来事のように思える話である。
(ちょっと化粧直しに席を外した時に仲間に連絡をすることが出来ないなんて!)
最後に大きなどんでん返しがあって物語全体を引き締めてくれている良作。叙述トリックは基本的に読者による推理を無効にするための卑劣な飛び道具だと思っていたが、こういうのなら有りかもなあ、と考えを改めた。
テレビゲーム「かまいたちの夜」のシナリオも手がけている作者らしい。