http://touasa.cocolog-nifty.com/wannazau/2008/08/post_a4bd.html
読了。
小松左京賞へ投稿されて落選したものをwebで公開されている、SF小説。
まず最初に。
面白かったです。読ませる文体と、先を知りたくなるエピソードが次々に展開されていくので思わず続きを読みたくなる作品でした。
火星の生物の化石を探す、という主題はこの作品を読んでみようと思った決定打です。これは読んだ後でわかったことですが、微化石らしきものだが完全な生物の化石だと断定はできない物体しか見つかっていない、そして開発中という火星の現状という舞台設定も素晴らしい。
序盤から中盤へかけて、更紗とマリ=クレールが探索への準備を整えていくくだりは、読んでいてわくわくするジュブナイル感に溢れています。
反面、物語全体を通してのストーリーはチグハグしているのは残念でした。伏線が回収しきれてないのもそうですが、全体的に「どこに解答があるのか判らない話」のような印象をを持ちました。
更紗の両親との話や、金色の粉や、火星の生物史や、マリ=クレールのスランプなどの点です。
人は物語に「理由」を求め、この小説はそれに対する答えの示し方が弱いということなのかもしれません。
練りこまれたプロットの元に書かれればとても良いものになるのでは?と思います。