九井諒子「竜の学校は山の上」

日常に異物が混じりこんでおり、かつそれが日常だと感じられるSF感が素敵な短篇集。
主に魔王を倒した後も続くファンタジー世界の暮らし、ケンタウロスの居る世界の話、竜という生物群が実際に居たとしたらという前提の表題作で構成されている。
「竜の学校は山の上」の飛竜が飛び立つシーンは必見。人を乗せられるほどの大きな生き物が走り、飛び立つシーンがリアルに描かれている。
ケンタウロスの居る「現代神話」は、ケンタウロスの社会への溶け込み具合も「セントールの悩み」とよく似ているだけに、そこから先の味付けの差がおもしろい。こちらのほうがより日常寄りだと感じられた。