アナイアレイション 〜全滅領域〜

視聴。
小説「全滅領域」の映像化作品で、netflixオリジナル作品。
タイトルに関してせっかく原作から「これぞ」という単語を持ってきてくれたのに「心理学者」の立ち位置が変わったことでその意味を失っているのが、この映画の作品性を象徴していると言えそうです。
作品の各パーツのクオリティは高くそれだけで楽しめるため駄目な作品というわけではありませんが、全体的に文学的な立ち位置の芸術作品にも、未知の領域の探索エンターテイメントにもなりきれず中途半端になってしまっていると感じました。
原作小説「全滅領域」を読んだ読者が"エリアX"に求めたであろう未知の領域や奇妙な生物たちを描けるようプロットが再構成されており、"エリアX"の異常さ、美しさ、危険さを存分に描くことに成功している点は素晴らしいと思います。
主人公の人間面も短い映画では描ききれないと判断した部分をばっさりとカットした判断は悪くありません。しかし原作から文学的なエッセンスや、完全に謎が解けるわけではないホラーのテイストを引き継いだことで、逆に魅力が落ちてしまっているのが残念な作品でした。