水生物

ガラスを指がはじいた。
ピシリッ乾いた音を残してグラスの中の水に波紋が広がり、収縮する。
……普通ならば。
しかし、この水には神経が広がった。
白い、ミカンの繊維のような神経組織が水の中で焦点を結び、神経組織の中心には義眼が形成される。
眼球がギョロリと私の目を覗き込んだと思ったら、数瞬後には神経組織は解け散り、残った白いものもすぐにその水に溶けて消えてしまった。
いや、私は既にそれを水と呼ぶ事が出来ない。