支倉 凍砂「狼と香辛料7」

読了。今回は短編集。商人バトル成分はほとんど無く、ホロとロレンスのバカップルっぷりをお楽しみください的な巻。(いや、半分以上はロレンス居ない話なんだけどね)

狼と琥珀色の憂鬱

しっとりした甘い生地に、優しい酸味の効いた焼きリンゴケーキ。口一杯に広がる林檎の風味に、思わず顔が緩んじゃう味。"文学少女"の遠子先輩ならずとも、これを食べたらそんな味がすることが容易に想像できる。
思わず顔がほころんでしまう、そんな幸せ味の一作だ。
「ジョン平とぼくときみと」でも感じたが、作者が心から楽しんで書いている作品は
読者にも上質な楽しさを与えてくれる。嬉さの共感のようなものを感じさせるのだ。
もちろん、それだけが最上の楽しさを生む手段だとは言わない。むしろロジカルな話は苦しみの中から生まれることも多いとは思うが、こういった系統の作品は好みである。

少年と少女と白い花

ロレンスと出会う前の話らしい。よく考えるとロレンスと出会う前でホロが自由に旅してる時期ということは、少なくとも本編より百年以上は昔の話ということになる。
子供二人相手な話だけに、舌戦でもホロが無敵過ぎる。
また、完全に本編から切り離された外伝だからこそかもしれないが、ホロ以外の「神」がはじめてまともに登場することも興味深い。

林檎の赤、空の青

旅の一場面。ホロとロレンスの日常が描かれていて微笑ましい。