小川一水「天冥の標5」

読了。
小川一水流、アストロノーカ。
プラス、シリーズの鍵とも言える被展開体キャラクター「ダター」=「ノルルスカイン」の出生と、シリーズ全体の構成を明らかにする謎解き。
今回も、(宇宙農家側のパートは)天冥の標3から続く宇宙時代の話である。そちらも面白いのだが、この巻の見所はやはりノルルスカイン側のパートにある。冥王斑をもたらした「敵」のことも描かれる、シリーズの折り返し地点にふさわしいボリュームであった。



ノルルスカインはガニメアンと気が合いそうだ。まあ星間航行できるようになってからのガニメアンは戦闘もするような種族ではあるけれど。

ノルルスカインパートで語られた、「覇権戦略は無いらしい」は小川一水流の「フェルミパラドックス」への解。
ただしオムニフロラは覇権戦略らしきものを探し当てているので、正確には「覇権戦略を取れる生命が生まれる確率は非常に低い」ってのが解なのか。

オムニフラの戦略は「時砂の王」の、「E・T(Enemy of Terra)」っぽい。

あと、地球産の被展開体は現実世界も居そうだ、確実に。インターネットの中or人と人との関わり合いの中に。KYの空気とかそれっぽい。