ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域」

読了。
謎の組織により、謎の規則をもとに、突如出現した謎の領域「エリアX」を探索する小説。
サザーン・リーチ三部作の1作目。
近代的な電子機器や外部との連絡手段などは持ち込み禁止に代表される細かな規則をもとに、ゲーム的というか、クリムゾンの迷宮に代表される参加者には事態が把握できていないサバイバルゲームのような様相を呈している。
主人公は第十二次調査隊ということで、先行して調査部隊も居るのだが彼らはそれぞれ奇妙な顛末を迎えており、そこからもたらされる断片的な知識はむしろエリアの異常さを示すスパイスとして働いているのが演出として素晴らしい。未知のものへの好奇心をエンジンにして先を読み進めさせる作品。
そういったところからスタートする作品だが、人物の内面と狂気を狂気を描くホラーともいえる展開にっていく展開も特徴的。



SF的な設定ではあるが、物語の焦点は理解できない狂気に向けられておりSFではないと思う。
その狂気の内容を読者側にも理解させてその結果、読者の考え方を変容させるのがSFだと考える。