小川一水「天冥の標10 青葉よ、豊かなれ part.1」

読了。
これですべてのカードが出揃って、ついにメニーメニーシープの全勢力が対オムニフロラの意思を固めたところまで。
しかし、メニーメニーシープの出会った宇宙空間を泳ぐ龍のような異星種族エンルエンラとの戦いや、天冥の標6で描かれた戦争(後の時代では消信戦争《シグナレス・ウォー》と呼ばれる)から後、太陽系側が辿った歴史とそれに伴うメニーメニーシープを追う大艦隊2PAの起源の解明など、それだけで1章にできそうなエピソードが入っている。
(メニーメニーシープ側の歴史は天冥の標7以降で描かれてきた)
メインの物語は8章(=1章)の登場人物がそのまま続投する完全に前回からの続きとなっている。このメンバーではオムニフロラに対抗できないのではと思っていたが、星間種族とも渡り合える戦力を持つ2PA艦隊や、人間を上回る群体知性を持つカルミアン、そして姿を隠すことを止めたノルルスカインが仲間に加わったことで道が見えてきた気がする。