「オープン・ウォーター」

視聴。
キューバ・ダイビング中、手違いで船は陸に戻ってしまい大海原の真っ只中にただ二人だけ取り残されてしまったカップルの物語。海に取り残されるという舞台設定もさることながら、淡々とした展開が新しい。
人を一飲みにするようなサメや、正体の判らない何かが追って来るなど、明確な恐怖が描かれず、せいぜい人と同じ程度の大きさのサメしか出てこない。しかし、その起伏の浅さが逆に、リアルさを感じる不安感と恐怖、そして強い後味の悪さを演出している。
遭難からラストシーンに繋がるまでのイベントが、ただ遠くにボートが見えたり、強い毒をもつクラゲが居たりするだけという、物語としての意味を見出せるものになっていないこともそれに拍車をかけている。
見て「楽しかった」と言えず、万人に勧められるものでもないがこの後味の悪さは一見の価値はある作品。



「閉鎖系」の映画だということで借りてみた。舞台は野外で本当は移動もかなり行われているが確かにこれは「閉鎖系」だ。これは物理的な檻ではなく、海上で手の届く範囲には何も助けになるものがない、という状況の檻で閉鎖系を作っている作品なのだ。

あと、カメラを水面に寄せることで波が様々形に変化して一瞬何かが居るように感じてしまう、という演出はこの一作で使われるには惜しいほどの演出。これを活かした何かが作れそうな可能性を感じた。