「ぼく」は取り出せるのか??

http://d.hatena.ne.jp/michiaki/20130208/1360335199

無数にある中のひとつを「ぼく」に決めているものは何か?

私は、「記憶」の中にあるアルゴリズムがその正体だと考えます。
ここで言う「記憶」はこのエントリ内で定義されている意味での「記憶」で、一般的に言うとそれは記憶というより本能と呼ばれる部分の中にあるものだと思いますが。

我々は目や耳などの感覚器からのインプットを解析して、その感覚器が設置されている肉体を「ぼく」だと認識するようなアルゴリズムを持っており、そのアルゴリズムこそが『無数にある中のひとつを「ぼく」に決めているもの』だと考えると矛盾は発生しません。なぜ我々がそのようなアルゴリズムを持っているかというと、そのほうが生存に有利だったからでしょうね。

実際に目や耳の感覚器からのインプットに偽情報を送ってやると、「ぼく」がどの肉体を指すものなのかを誤認識したと解釈できるような反応をしめすようです。
http://obahiroshi.jugem.jp/?eid=123

そういう認識の上で『「ぼく」は取り出せるのか』という問題について考えてみると、答えはギリギリYesでしょうか。

「ぼく」の正体はアルゴリズムが求めた指し示し先のことなので、単にそれを移動させても次の瞬間にはアルゴリズムが正しい値に上書きしてしまいます。また、自己認識アルゴリズム自体を別の体に移動させたところで自我が移動したとは感じられないでしょう。しかし、自己認識アルゴリズムのロジックを変更してしまえば別の体を「ぼく」として感じることができるようになります。まあロジックの変更を元に戻せないようになってしまうと、お医者さんはそういう状態のことを統合失調症という呼ぶと思いますが。

生活の中だと、ゲームのプレイ中に自機にダメージを受けた時「痛っ」と言ってしまうのが、感覚として近いのではないかなあ、と思います。