「この世界の片隅に」

視聴。
太平洋戦争末期〜終戦直後まで広島県呉市を舞台に、戦時下の日常を描く。当時、大和などの軍艦の造船していた海軍工廠があった呉市が舞台だが、あくまでも主眼は広島市から呉に嫁入りした主人公すずの視点から描かれる日常である。
言語化が難しいけれどとにかく感動した作品。この心の揺れは、単純な「原爆投下は悲惨だった」とか「戦争で大切な人を失った」とかそういうのだけではないと思う。
心を動かされた部分はやはり戦時下の日常を土台にして、原爆投下から終戦の流れですずが等身大にショックをうけた箇所だと思う。無理に言葉にしてしまうと、辛いだけではないが耐えてきた戦時下の日常が敗戦で崩壊したとき、ならあの犠牲はなんだったんだというやりきれない気持ちと、それでも日々は続いていくという事実というあたりに心を動かされたのだと思う。
あとエンディング曲が反則的に作品に合っている。



実は原作は既読なのだが、原作は敗戦あたりのすずの心境がいまひとつ伝わらなかったので、そこまでの感動はなかった。
この丁寧な映像化で作品をはじめて理解できた気がする。

自分が広島在住で、作中でずっと使われている広島弁や、物語のポイントポイントで出てくる相生橋(原爆ドーム側の橋)などを実感をもって知っているというのも、感動を大きくしている要因かと思う。

同じく2016年話題になった映画「シン・ゴジラ」「君の名は。」とくらべてこれが一番好みな気がする。