"VA-11 Hall-A" ヴァルハラ

クリア。
サイバーパンクな世界観の未来を舞台としたアドベンチャーゲーム。といってもストーリーはほとんど分岐しないので、読み物に近い。
バーテンダーとして酒を作りながら様々な客との会話の端々から群像劇を覗き見るという、なかなか無い表現の作品だった。物語のつくりが丁寧であり、バーに飲みに来る客層は新聞記者、セクサロイドハッカー、賞金稼ぎ、警察、探偵、喋る犬、歌手など非常にバラエティ豊かで、それぞれ背景に人生があるのだと匂わせてくれる。
また2017年に作られたサイバーパンクとして、生活の全てをストリーミング配信することで生計を立てている少女が居たり、同性婚が異性婚と同じレベルのあたりまえな行為として認識されていたりと「サイバーパンクの世界観」のアップデートが行われている点も好感が持てる。
グラフィックにPC-98時代の16色までしか使えなかった頃の技法をあえて使っている点も特徴的。ドットを漫画のスクリーントーンのように打つことでグラデーションを表現する方法など。
メインとなる分かり易いドラマがあるわけではないので人によって評価は別れるだろうが、噛めば噛むほど味が出る佳作的作品。



ただしマルチエンディングで2周回プレイを推奨しているのに「未読までスキップ」の機能が存在しないのはいただけない。スキップ自体はctrl長押しで出来るのだが、未読テキストまでスキップしてしまう。