RainWorld

クリア。
文明崩壊後、遺跡となった人類の構築物の上に新たな生態系が発生しているという世界観のもと、仲間とはぐれてしまった「ナメクジ猫(slugcat)」を主人公としたアクションゲーム。広いマップを持つ2Dマリオ視点のゲームだが、主人公の能力取得まで探索範囲が制限されるというメトロイドヴァニア的要素は無い。非常に広大なフィールドをどこまでも探索していける自由度が高い構成はむしろオープンワールド系ゲームに近いものになっている。自分の場合クリアに必須でないエリアもだいたい踏破して、50時間くらいは探索した。
またタイトルにあるように定期的に雨……というか雨粒に叩きつけられたら死ぬレベルの豪雨が振るため、雨が振るまでの制限時間内で、各地のシェルターへ避難しながら探索範囲を広げていく。
マップは自分で足を踏み入れた場所しか表示されないので、初回プレイではもうすぐ雨が降るがこのまま進んだ先にシェルターがあるのかわからない。雨の時間が刻一刻と迫ってくるなか、先に進んで本当にそこにシェルターがあるのかという不安と、シェルターが見つかったときの強烈な安心がゲームのアクセントになっている。
ナメクジ猫はポールを伝って移動したり狭いパイプに潜ることなどはできるが、素早い行動や高いジャンプはできない操作性になっており、捕食者を振り切るのは簡単ではない。しかし細かい操作テクニックがいろいろ存在しており、最初はうまく動かせなかった自キャラがだんだん思った通りに動かせるようになっていくというアクションゲームの根源的な面白さがある。
操作もそうだがこのゲームは生き抜く術を身に着けていくことを楽しむゲームで、自分の知らない世界で、うまく食べ物を手に入れる方法、捕食者への立ち向かい方、中立生物との付き合い方、行けそうにない場所への行き方、落ちている謎のオブジェクトの利用方法などを学んでいく。いろいろな物をクラフトしていく人間のサバイバルではなく、野生生物の立場のサバイバルを行うゲームと言えそう。
一匹で100日以上を過ごした後には、もうプレイ開始当初の不安にまみれていた子猫はおらず、威嚇してくるリザードにも怯まない野生児が誕生しているのだ。
ちなみに2Dドット絵で描かれたアートワークは素晴らしく、特に難所を乗り越えた先の世界が見せてくれる壮大な光景には大いに感動させられた。
ただゲームとしては荒削りな面もあり、生物を生物らしく描くために「ゲームの基礎文法」というものが無視されている場面が多いように思う。一番大きいのは、生物配置がある程度ランダムなので詰むことがあるという点。一本道のところに、大型の敵が居座っているとどうしようもない。また、こちらの思い通りに動いてくれない中立生物も多い。あとこのゲームはスクロールではなく端までいくと画面切り替えという方式なのだが、画面が切り替わった直後に敵が居て対処する暇なく噛まれて死ぬことがあるのはきつかった。
また難所ではリトライ後に前死んだ場所たどりつく前に、退屈な移動や腹を満たす作業を何度も行うのが面倒。それと、これはゲーム上特に問題があるわけではないがマップの端に当たり判定の壁が無く、マップ外を延々と歩いていけちゃう箇所も多々ある。
総評として、欠点もあるがそれを超えられる人にとっては大きな魅力のある探索ゲーム。