HALF-LIFE:ALYX

クリア。VRゲーム。
helf-lifeやportalシリーズの開発元であるValveが送り出したVRゲーム。基本的に一本道の銃撃アクションではあるが、自らVRの「キラータイトル」を名乗るだけあって全体的に非常に質が高い作品になっている。
グラフィックの現実感が高く、これは360度フォトだとよ言われても疑わないレベル。
おそらくポリゴン数やテクスチャ解像度はFallout4VRでもあまり変わりないが、色彩バランスやフォグの調整の練り込まれ方が段違いなのだと思う。
(これはFO4側がオープンワールドなのに対して、ALYXはある時刻のあるエリアに限定して開発できたので単純に開発力の差というわけではないと思うが)
そしてVRならではの面として、その辺に置いてあるほとんどの小物を「手で」持ち上げることができる。
SkyrimやFallout4も多くのオブジェクトが持てるのは同じなのだが念動力でふよふよ浮かせる感じで持っていたそちらと違い、ALYXは「手で掴んで持つ」ことができるのでリアリティが大きく違う。
また手で持つことの現実感と、遠くのアイテムに手を伸ばさねばならない問題をうまく解決したグラビティ・グローブの発想も素晴らしい。あとこれは他作品でも使われているシステムだが、銃器をガチャガチャ触ってリロードしたり、背中のバックパックにアイテムを放り込む操作なども楽しい。
最初は悩むがしばらく探索しているとハッと正解に気づくようなレベルデザインや、適所でVRを生かした巨大なメカに踏み潰されそうになったり、立体感が大きく感じられる紙吹雪だったりのアクセントある演出も素晴らしい。
ただストーリーを面は手放しには評価できない。この作品はhalf-lifehalf-life2を知っている前提で作られているようで「ここはどんな世界で、主人公はどんな立場の人物か」などの基本的な部分からして全然説明されない。
エンディングもおそらくhalf-life2のシーンに繋がっているのだろうが、そこを知らない自分には意味がつかめないものだった。
自分は外伝的なPortalしかクリアしてなくてHalf-Life1は何度かトライしたが酔って止めてしまっているので、ブラックメサで行われた実験で異世界の怪物が溢れ出てきた後の話程度にしかストーリーがわからない……。
またプレイ時間面では、6000円のフルプライスゲームとしては15~20時間程度だと物足りないと感じる人もいるだろう。(個人的には濃密な体験を与えてくれてこの時間なら十分だと思うが)。
ちなみにオマケのゲームモードや周回アンロックなどのプレイ時間水増し要素も全然無い。これは潔いと思う。またボリューム面に関しては将来的にmodで解消されると思う。
あと最初も書いたが一本道であり、柵の向こうなど、ステージとして設定されいない場所には行けそうに見えても行けない。これはそういう種類のゲームだという話なので欠点とは言えないかもしれないが、オープンワールドゲームに慣れているとちょっと寂しい。
総評として、グラフィックや操作面でこれまでの作品と比べて間違いなく一つ上の次元のVR体験をもたらしてくれる傑作と言っていい作品だろう。



ただ冷静に見るとHalf-Lifeブランドはもう「キラータイトル」にはなれないような気がする。
伝説的なPCゲームシリーズとはいえ、前作から10年以上も時間を空けているわけだしそもそもコンシューマには強く展開していなかったので、古いPCゲーマーにでないと知名度がすごく高いというわけでもない。
half-life:alyxは間違いなくVRゲームを代表する名作タイトルの1つには数えられるだろうが、大多数がこれをやりたくてVR機器を購入するキラータイトルにはなれないのではないだろうか。