クリア。
1つの太陽系をまるごと舞台にしたオープンワールド・アドベンチャーゲーム。
オープンワールドは遠くに見える山などにも実際に行ってそこを歩けるという革命を起こしたが、この作品は夜空に見える月や星に実際飛んでいってその地表を歩けるという革命を起こした。
地上から宇宙船で飛び立って、公転軌道を回る別の惑星まで飛んでいき、速度を同期させて惑星に降り立って、そこにある洞窟の中を探索するところまでが暗転やローディングを1つも挟まずに完全にシームレスに行える。
ストーリー面では、ゲーム開始から22分で太陽が爆発して星系が消滅し、主人公はその後スタート時点(22分前)にタイムリープするというループに囚われるというものになっている。
またゲーム進行に関わる「フラグ」がほぼ存在せず、純粋に世界に存在しているオブジェクトや残されたメッセージなどから物語を読み解いていくという作りになっているのが特徴的。
これは「発見」のゲームで、チュートリアルはあえて排除されておりアイテムや仕掛けはプレイヤー自身がいじくりまわして使い方を見つけることを楽しむ作りになっている。
ただし配置物などでプレイヤーを誘導するようにうまく仕向けてあり、プレイヤーが把握しきれない情報量についても自動的にアーカイブされていくメモがあるなど、理不尽な謎解きにはなっていないのが素晴らしい。
とはいえ何が何だか分からない状態でいきなり世界に放り出されるのも事実なので、最初はとっつきづらいという問題がないわけではない。
人を選ぶところがありそうで、クリア時間も25時間以上(人によってかなり変わりそう)とわりとボリュームが大きいので無条件には勧められないが面白い作品。
ストーリーを構成するパズルのピースだけを用意して、そこから完成図を組み立てるのはプレイヤーに任せるというストーリーテーリングの方法は「Her Story」に似ている。
太陽が爆発するのがタイムリミットであるとともに、それを防ぐことが最終目標でもあるのはドラクエ1の対岸に見える魔王城のような美しいゲームデザイン……と言いたかったが、エンディングまで行っても結局太陽が爆発は防げないんかい!