山田芳裕「望郷太郎」

https://www.tyoshiki.com/entry/2023/07/14/0030579
読了。9巻まで。
現代から500年後の未来、大災害で工業文明が消滅したあとにコールドスリープから目覚めた男を主人公として描く話。「度胸星」の作者による作品。
「価値」を主題にした作品で、経済システムを自給自足から進化していくさまを描く。主人公は日本人だが、中東で仕事をしていたという設定にして、コールドスリープ後にそこから日本を目指して移動していく、という設定にすることで、貨幣という価値観が存在しない地域から信用通貨や選挙が存在している地域までどんどん移動していくことで、同じ時間軸で様々な価値観を描ける仕掛けになっているのがナイスアイデアである。
記事にあるほど「めっちゃ刺さり」はしなかったが面白い作品。前述したようにエピソードが一区切りしたあと、別の地域で新たな経済システムを描けることや、最終的に日本はどういう状況になっているか、などの興味の引く舞台設定がうまい。