ひぐらしのなく頃に 総評

まず最初に。
竜騎士07氏は、非常に優れたサウンドノベルの「語り手」です。初代「ひぐらしのなく頃に」から積み重ねてきた経験をあわせて、人を楽しませる物語を書くという、物書きにとって最も難題とする問題を見事クリアしている作家と言えるでしょう。


……だが、彼には物語り全体を通しての整合性を作り上げる構成力が足りなかった。
ついでに、それを無視して無理やり広げた風呂敷を畳もうとするため、
「ノドカキムシール(しかも薬物検査にひっかからない)」などという、便利すぎる
殺人ツールを物語内に持ち込んでしまっている。
後半(解)は、それを前提とした上でさらに、主人公達がやたら現実離れしたオーバーパワーを持つという不自然な構図が見られる。彼の持つ「友情パワー最高」という信念がそれに組み合わさることで、結局は友情パワーがあれば解決。銃弾でもはじけるさ、という構図ができあがってしまっているのだ。
元々推理させるという構図のゲームだったはずなので、これはプレイヤーに対する許されざる裏切りと言える。


あと、一気に書き上げたと思われる勢いのある個所は、勢いありすぎで言いたい事を相手に伝える前に「うわ、なにこの自己陶酔作者。キモチワル」となってしまう。


そういったわけで、誰か物語構成を組むのが巧い人に「原作」を書いてもらい、それを小説化するという手法りようすれば、彼の持ち味は存分に活かせるのではないかと思ってみる