KAKERU「魔法少女プリティ☆ベル」

話の掴みは手違いでボディビルダーのおっさんが魔法少女になってしまい無双をするというギャグだが、それだけでは終わらない作品。
この作品は魔法少女モノの皮を被ってはいるが、それぞれの魔王が統治する複数の国や天界の軍事パワーを背景とした、国と国との政治交渉なども重視されている。突然出現した強力な独立勢力によって大国同士のパワーバランスがゆらぐ様を描くという意味で、その作品構造は沈黙の艦隊に近い。
ただ作者の主張をキャラに言わせるだけなら別にいいが、それを対話形式で語り論破するのは下策。そもそも物語として面白くない。対話形式で出てくる反論者は、著者の求める結論へ向かうための反論者でしかない。
政治論に関しては、頭のいいキャラを描けないので周りを馬鹿ばっかりにして「頭がいい」とされるキャラが都合がいい無双する状態。
あと「ぼくがかんがえたさいきょうへいき」にページを割くのはやめて欲しい。
最新刊でやっとバスタード!の方舟編のような展開を始めてくれた。