自転車操業『そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ』

http://www.anos.jp/anos4/anos4.htm
ひさしぶりにやった、手ごたえのあるアドベンチャーゲームMystと比べても遜色が無い手ごたえだ。
そう、画面は一見するとサウンドノベルのようではあったが、これは確かにアドベンチャーゲーム。そして、その手触りは個性あるシステムの前でも、決して薄れはしない。
表現方法として「選択肢」から逃れさせることに成功した記憶管理とAnosのシステムには、80点を上げたい。サウンドノベルとしての豊富な文章で細かに状況を描画できる上に、総当りによる意味の無いクリアを排して、なおかつコストはそんなにかからない。そして、アドベンチャーをやっている感覚はしっかりと残る。このカタチは、新しいアドベンチャーゲームの1ジャンルとなったとしても、まったく驚かないほどのゲーム性に合ったシステムだった。これには惜しみない賞賛を送りたいと思う。
……が、作成している自転車操業さんがまだユーザインターフェイズの練りこみという意味で細部に拘っていないので、少し点が落ちてしまっている。サウンドノベル部分の表現に凝った長い文章の中に、Anosでは再現されない「絵的なヒント」が含まれているのを一度目で見逃すと、非常に辛いのだ。1度目ならばキャラクター同士のやりとりも楽しく見れる。しかしそれが2度、3度となるとそれは既に探しものという作業でしかない。それなのに必要な時間は1度目と同じ。このため、見直すのが面倒→ヒントがもっと見つからないという、意味の無い悪循環が生まれてしまっている。
ただ、この点はシステムの練りこみによって高速モードなどをつければ解消できることなので、技術力でなんとでもなる問題だ。
システムはこのくらいにしておいて、ストーリー性なのだが、これはいつ死んでも構わないという思っている青年が死と隣り合わせの職場に入ってゆくという、ちょっと変わっているもののそこまで珍しいものではなかった。ただ、自転車操業の雰囲気というか物語のまとめ方は、これまたちょっと変わった雰囲気があって、なかなか気に入っている。こちらの雰囲気はかなり珍しいものなので、一度味わわれてみてはどうか、と紹介できるレベルである。
ただし、謎解きはノーヒントで行くとかなり辛い。上述のように「見直す」のが面倒に思えてしまう点が特に辛くて、私は途中でヒントを見てしまった。見直すとか関係なしで、かなり理不尽な謎解きも多いので、やってみる人は注意されたし、だ。(当たりの選択肢も、他の似た感じの選択肢では駄目なのに1つだけ当たりというようになっているし)
ともかく、ノーヒントでクリアできれば間違いなく充実感を味わえる作品だってことは確かだ。
メモを取る。または、一気に解こうと思わないで数ヶ月かかってもいいくらいの気持ちで、ちょっとずつ思いついたことを試していくような解き方をお勧めする。


ちなみに、ヒントを見てしまった為に鬱になってしまった。
MystRivenもノーヒントでクリアしたこの俺がッ!クソッ!クソッ!!