柳本光晴「響 小説家になる方法」

『悪役には「ずれ」がある。主役には欠落がある』にある、「主人公は、何かの不足と、何かの過剰とを併せ持つことになる」を体現したような作品。
主人公である鮎喰響は悪い人間ではないが人に手を上げてはならないといった社会常識が全く理解できないような"不足"と、圧倒的な小説の才能という"過剰"を持ち合わせた魅力あるキャラクターで、この作品はほぼ完全にその主人公によって駆動されている作品である。