メアリーの部屋の崩し方

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B#%E7%9F%A5%E8%AD%98%E8%AB%96%E6%B3%95
生まれたときから白黒の部屋に閉じ込められているメアリーは、その部屋の中で色に関する知識を学んで色や脳がそれを感じるときに生じる物的な知識を『全て』得ている。
しかし彼女が部屋から出て実際に色を見たとき、彼女は「わぁ」と言うであろう。
このときメアリーが何か新しいことを学んでいる。それは物的知識以外のものである。
よって物理主義は誤っている。
……という哲学の思考実験「メアリーの部屋」がある。



この思考実験の間違っている点は「メアリーが色や脳がそれを感じるときに生じる物的な知識を『全て』持っている」というのがウソであるところだ。
それを浮き彫りにするには、この思考実験が行う舞台をゾンビワールド(表面上は我々の世界と同じ世界だが、その世界の人々はクオリアを持たないという可能世界)に変更すればいい。
その場合でも部屋から外に出たメアリーは「わぁ」と声を上げる。
しかしゾンビメアリーはクオリアを持っていないので、メアリーが新しく得た知識はクオリアではない。
「ではそのときメアリーが得た知識は何なのか?」と考えると、結局「メアリーが色についての知識のうち『色を体験したときに自身の脳がのような反応を起こすか』の知識を知らなかった」
というだけの話になる。
よって、メアリーの部屋で物理主義を批判することはできない。