魔法とスキルの差

スキルとは何かを整理して心の平穏を手に入れてみたい。
冷静に考えればファンタジー世界に昔から存在する「呪文を唱えれば手から火が出る魔法」だって十分に不合理なので、本質的にはスキルの不合理さも許せる気がする。

効果

どちらも物理法則に従わない超常的な現象を起こす。
ただしスキルは完全に世界の法則を無視した現象を起こすが、魔法は物理法則の他に魔法法則があってその法則には従う場合が多い。
法則に縛られない分でスキルのほうが効果の自由度は高いが、リソースが無限であれば両者ともに人間に想像できることは全て実現しうる。
魔法は魔法法則にもエネルギー保存則的なものが働く前提を置いてしまうため、どう魔法を組み合わせても永久機関にはならないことが多い。コンピュータゲームでは可能な場合もあるが、物語世界として空腹充足の魔法を使えば何も補給しなくても永久に活動できるとするケースは少ない。
スキルは背景に法則を持たず現象だけを引き起こすので永久機関を簡単に許容する。極端な話「空腹無効」スキルだけで、それはもう永久機関である。

消費リソース

魔法は主に使用者のMPリソース。
スキルは消費するリソースが多様でクールタイムのみやリソースは一切不要の場合がある。

仕組み

魔法は仕組みが分解できる場合が多い。スキルはそれ以上分解できない。スキルが分解できるよう「設定」されている場合もあるが、それは分解した効果の組み合わせで分解元が形作られていることを意味しない。
どちらも世界の法則がそうなっているから使えるものだが、魔法は究極的には魔法大統一理論のような単純な法則が根本にあることを想像させる。スキルは単純な法則の組み合わせで作られているのではなく完成品がそのまま世界法則になっている。
メラミはおそらくメラの魔法の発現法則に依存しているが、大火球のスキルはおそらく火球のスキルの発現法則に依存していない。
そのためスキルが存在する世界は、コンピュータ内など世界法則が自由に設定しやすい舞台とすることが多い。ただしスキルという概念が慣例になってきたので、そういう言い訳がなくてもスキルを使える世界も多い。

使い方

スキルは使うという意思を持っただけで使える場合が多く、使用行為に対応してスキルの発動を妨害するのは困難。
スキル無効化のスキルはよくあるが、それはパッシブなスキル利用禁止効果か、スキルの発動の結果生まれた効果を無効化するものであり、スキル発動に割り込んでそれを発動できないようにするものではない。
魔法は物理的な準備動作が必要な場合が多く、発動妨害可能性が大いにある。

本来の単語の意味との差

魔法は例えば火をたく雨乞いの儀式で雨を降らせるなど超常的なことを起こすといったものだったが、それが大幅に省略されて行為と発生現象が直接的に結びつくよう変化したもの。
スキルは技能を持っていることを示す名前だったが、スキルを持っていると技能が使えるという意味逆転が起きたもの。
この逆転は「ステータス値」についても起きている。