即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。

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読了。
絶妙に「面白すぎない」面白さで、既読の漫画を読み直すようにサクサク読める作品。
基本的にはワンパンマンと同じ系統の敵の凄さを引き立ててからの即死という落差のコメディ。
ただ作品の雰囲気としてワンパンマンほど理屈抜きではなく、考察すべきロジックありきの即死なのではと思わせるところがある。
とは言えやはり即死攻撃と自動反撃だけではどうにもならない状況はいくらでもあるのに、そんな展開にはならないのは敵側が考えて行動するところも描かれているだけに物語の要請によるご都合主義を感じる。
特に途中で指示者は殺せないという特性を利用して、何も知らない実行者を使い捨てて自動反撃のルールを解析しに行ってた展開があったのに、その後それは特に物語に関わってこないのはもやもやする。またサキュバスのチャームに自動反撃したのは流石に後出しご都合設定が過ぎると思った。死ぬ結果になる現象に自動反撃するというのであればまだ納得できるが、とつぜん死なない攻撃に対しても自動反撃をしますよってことになっている。死ぬ結果という基準があるならともかく、外部からの影響で何かの変化をさせられることに自動反撃するなら呼吸一つできなくなってしまうでしょ。
また作品の大きな流れとしてわりと行き当たりばったりで色々な重要人物を即死させていった結果、物語が破綻してきたところで連載終了となっている。
まあ最初に書いたように「面白すぎない」作品なのでそれで問題ないと思うが。



最後は究極的な最強能力者である「作者」のアバターが出てきて、そいつが「高遠夜霧は死ん」まで地の文を書いたところで突然途切れて終わるオチにしそうだなあと思ってたが、そんなことは無かった。

やられ役モブとして登場した花川だが、そっちのエピソードの方が面白くなってきてたので「主人公補正持ちを殺すには、主人公より面白いサブキャラが出て主人公交代をさせてしまえばいい」
という展開を計画してるのかと思ったが、そんなことは無かった。

叙述トリック的な展開として、高頭夜霧の能力が通じずに殺されてしまった……と思ったら、実はそれはクローン作製能力で能力まではコピーできてないクローン高頭夜霧視点の記述だったみたいな展開もあったら面白かった。

アンデッドでも死ぬだとか時間巻き戻しをする相手でも死ぬ原理として、世界の法則を超越してることを浮き彫りにするエピソードが欲しかったかな。たとえばブランコのおもちゃを「殺して」ぶっ壊した後、その壊れた部品をブランコの形に組みなおしても、なぜかブランコは全く揺れず物理法則に沿わない物体になっているとかそういうの。(八木ナガハルSFの無限工作社みたいな)

高頭夜霧が即死チート持ってるのは、神から見るとサルが核爆弾のスイッチ握ってるようなもんなのでそりゃ関わりたくないよなという感じ。