読了。アマゾンオーディブル。
ジャンルはSFとなっているが架空世界を舞台とした文学と言った方がしっくり来る作品。
表題作である「残月記」は、月昂という月齢にあわせて躁鬱を繰り返し鬱期に命を落としていく不治の病が人類史に存在する世界で、"残月"の名で多くの木彫り像を残した月昂者の数奇な人生を描く作品。
同じ書籍に収録された「月が振り返る」「月影石」もそうだが、設定やプロットだけを切り出してみれば世にも奇妙な物語に過ぎないものであり、SF的整合性で唸らせるものはないが、卓越した文章力で生々しく描かれる物語は文章の力でぶん殴られたような衝撃を与えてくる。
人を描くために世界が在るタイプの作品だが傑作である。