悪魔のミカタ11

今回のお話は、各キャラクターごと分割された小章によって、様々な立場から物語が並列的に進んでいくという形式を取ったものだ。ホラーゲーム「SIREN - サイレン」またはサウンドノベル「街」のような形式である。まあ今のところ時系列は全員同期して進んでいるようだが、こういった形の話を読者に無理なく読ませるというのは基本的な執筆力の高さあってのことだろう。また、露骨さは感じないがストーリー全体としても静かに異形が忍び寄ってくるような恐怖を感じさせる作りであるため、「SIREN」的だという印象はより強く感じた。
ストレイ・キャット以降のうえおは様々な形式のプロットに精力的にチャレンジしてゆくという性質を手に入れたようである。プロット自体の形全体が今回のように特徴的な構成になる場合もあれば、銃撃描写がたまたま中央に置かれていた一厘の花を中心に描かれる場合もある。それは決して様々な技法を持っている上でそれらを有効に使いまわしているのではなく、新しい力を手に入れるための実験的な試みなのだろうけれど、自らが持っている技術の一歩外に果敢に踏み出してゆくその姿は他の作家とは一線を画す姿勢を言える。
今回のストーリーラインは「ザ・ワン」による吸血鬼の支配拡大。だと思う。
まだ途中までしか読んでいないのだ。
こう御期待。


第4幕になると時系列も入り混じった展開が始まった。
さらには??時という時刻も現れる。ますますSIRENっぽくてナイスである。