緑のルーペ「青春のアフター」

読了。4巻で完結。
高校時代に目の前で消えてしまった初恋の相手が16年後、30歳になり結婚も考えている彼女も居る主人公の元にタイムスリップしてくるというストーリーの作品。
作者は18禁畑出身で、同人や成人誌でも同じペンネームで執筆している。成人誌の方でも心の弱さやそれに伴った狂気を作風にしていたが、一般誌の作品である本作は成人誌ではエロの割かれていたリソースも心情を描くのに全振りされている。
静かに正気をえぐり取りに来るような、強烈に心を動かされる作品である。
タイムトラベルものとしても良くできており、時間軸を移動していくヒロインの行動というパズルのピースが最後にはかっちりとはまり込んで物語の完成図が現れる。見事である。
ただ一般誌ゆえにセックス描写できないというのが表現の制約になってしまっている面もあり、作者の持ち味が100%は発揮しきれていないかも。