銀河英雄伝説

視聴。アニメ版全110話。
未来の宇宙を舞台にした、戦術の天才ヤン・ウェンリー、戦略の天才ラインハルト・フォン・ローエングラムの二人を主軸に据えた架空歴史小説を原作とした作品。
後世になって史実をもとに書かれた歴史小説というスタイルで、ナレーションも後世の歴史家の評価や当人がそのときの判断を後にどう語ったかなどが示されるものになっている。物語として魅力的で次々に巻き起こる歴史を動かす事件・戦いが連なって時代が動いていく様が感じられる名作。
1980年代の作品だが歴史という陳腐化することのない題材を扱った作品なので、今見てもほとんど違和感なく楽しむことができた。
作品を考察する上ではこれ自体が歴史小説という設定なので、作中ではこう描かれているが「史実」ではもっと違っていたのではという解釈が入りうるところが面白い。



一応超光速航法や光線銃は存在し、宇宙に「地理」を作るために超光速航法ができない領域があるといった設定はあるが、完全にスペースオペラだと割り切っておりSF的な説明は皆無である。この作品はSFというカテゴリ外の作品であり、そちらからの評価はする必要はないと思う。
ただ「戦術の天才」とされるヤンの策略が今の時代からみると色あせて見える面もある。
またラインハルトと元フェザーンのトップであるルビンスキーの病による死はいささか不自然で、ヤン亡き後に扱いをもてあました作者が物語をたたむために無理やり退場させたという印象も受ける。