森博嗣「すべてがFになる」 感想

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062639246/503-9881982-9644752
今日、私の人生の中という大きな単位でみて「いまさらながら」に「すべてがFになる」を読了した。5年、10年単位で過去に読む機会がありながらなんとなく逃してきたが、ここまで魅力的な作品だったとは。ちょっと後悔である。
第一章から読み手を強烈に惹きつける魅力に満ちたプロットで始まり、タイトルにもなっている「全てがFになる」の謎が鮮やかに解かれるまで隙らしき隙も見せない素晴らしい作りの小説だ。
この森博嗣の書く文章は、文章の流れだけを見てみると、さして感銘を受けるようなものは無いはずなのに、一章にも満たない数節の文章だけで心を動かされる何かがあるという不思議な文章だ。
乙一のように、文章全体から溢れ出す雰囲気とは対照的な、鋭角的なものを持った小説であった。



それはともかく、この作品が発表されたのが90年代ということもあってコンピュータ関連の話は古びない方向性のものを利用しているとは言え、さすがに昔臭さを感じさせる。