橋本紡「半分の月がのぼる空」

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4840224889/hatena-22/ref=nosim
http://www.hantsuki.com/
これは、一般的に言われるライトノベルジュブナイルのような冒険活劇ではない。
心臓の病気で入院している女の子と、大風邪で入院した男の子との恋物語
本当に、物語としては小さな小さな範囲で起こる、小さな出来事で、舞台もまったく普通な病院だけれども、それでも(だからこそ?)、静かに心を震えさせてくれる感触があった。
とても純粋な物語なので、自分の趣味と合わなかった場合は読んでいる途中でこっちが恥ずかしくなってくるという性質を持っているであろう予感はする。が、それは
「少年少女の物語」という時点で、ある程度宿命付けられた運命である。良質な
ライトノベルは、その宿命を熱い戦いだったり、奇抜な設定だったりする何かで壊しているわけだが、「半分の月がのぼる空」はそれがなんだかわからない。わからないけど、それでも素直に感動できる。
……乙一日日日のように、文章そのものに強力な力は感じなかったと思うが、それを感じさせないほど自然であることもこの人の技量なのだろうか。
読了後に、「最高」とは叫ぶような作品ではないが、「いいねぇ……」とため息をつくような作品であった。


似た系統の「しにがみのバラッド」は、自分としては受け付けなかったので、本当にこの差が何なのかわからない。


オビに書かれている、「普通の少年と少女の、だけど特別な物語」はこの小説をよく表現していると思う。


DVDアニメ化している模様。


実写ドラマ化もしたらしい。