イリーガル・エイリアン

ロバート・J・ソウヤーによるSF小説。宇宙人とのファーストコンタクトの最中に殺人事件が起き、その容疑者である宇宙人とアメリカ州との裁判が始まる、という内容の小説。
司法ミステリものとしても結構筋道が立っていて面白いが、やはりこれは裁判を題材にしていても純然たるSFである。ここで出てくる宇宙人トソク族は、地球の大気を呼吸し、音声でコミュニケートを取れるという、かなり人間に近い宇宙人なのだが、それを裁判という個人の思想を浮き彫りにする空間にぶち込むことで、人間に近いが異質な思考というものを浮き彫りにするというのが、本作の主題の一つなのではないだろうか。
無難に纏まっているとは言え、かなりハイレベルな作品なので安心して読める作品だといえよう。