日日日「狂乱家族日誌七さつめ」

以前からほのめかされていた「来るべき災厄」の本編が、この7巻と8巻にあたるらしい。


なんだろう、なんだろう、なんだろう。
改めて本当に、この狂ったような適当なような設定の7人の家族の間に深い家族愛を感じられるのは、なんなんだろう。
そりゃあ確かに、これまで6冊の物語を重ねてきたってことはある。でも、だかといって生物兵器だったりくらげだったりオカマだったりの家族の間にこんなに強い絆を感るなんて、本当になぜなんだかわからない。
わからないけど、それが素晴らしいことだというのは分かる。


私が最初に読んだ日日日の作品が「ちーちゃん」だったせいもあって最初は日日日は本当は文学畑の人で、それがライトノベル書いているからいろいろと面白い効果だせているのかなあ、と思っていた。
でも、最近はそれは違うのではないかと考え始めたのだ。
ではなぜ彼が面白い話を書くことができるのかというと、それは彼が面白い小説を書くための秘術を知っているからでないかと思うのだ。秘術という書き方が神秘主義的な臭いをさせるのであれば方程式・法則と言い換えてもよい。映画などでよく使われるシュチュエイションというものがあることからも明らかなように多かれ少なかれ世の中には、コレを使えば面白い話が作れるというものは間違いなく存在する。
当然それは、ありがちだとか先が読めてしまうという批判も同時に生んでしまうものだけれど、そういったものを極限まで推し進めると、創作の秘術が生まれるのではないだろうかなあ、と思うわけだ。
そして、日日日はそれを持っている。


……そういったことを夢想してしまうほど日日日は、様々な性質の話を安定感をもってまとめる力がある。