日日日「狂乱家族日記 壱さつめ」 感想

日日日のデビュー作品群の一つ。……デビュー作品群という言葉が既にこの人の規格外さを十分に表しているわけだが、本当にこの人の作品には心を動かされる。
それでも作品ごとに、その物語の方向性は大きく違うわけだが、この作品はライトノベル成分と日日日の真骨頂である(と私が考える)狂気成分がバランスよく入っていると思う。今まで読んだ中でも一番両者の性質が上手く融合しているのではないだろうか。
物語の骨子としては、その昔世界を滅ぼしうるほどの力でもって世を混乱させた存在「閻禍(えんか)」の遺伝子を引き継ぐ6人と主人公が引き起こすドタバタ家族ストーリーといったところ。舞台は、現代日本を基調としているが魑魅魍魎が跋扈していたり、大東亜帝国の野望が成功しちゃってたりするという現代日本ものとしては一風代わったパラレルワールドだ。
外見は、非常にうざったいほどの萌えだとか、そういった要素で構成されているのだが、中身はなかなかしっかりと構成されている点は見逃せない。7人の登場人物を自然に描ききれているというあたり、基本的な筆力の高さを表しているのではないだろうか。
あとがきを見るに投稿時点ではもっと雑な質だったようだが、「ちーちゃん」を知っている私としてはそっちの方も見てみたかったなあ、と思っている。