オースン・スコット・カード「エンダーのゲーム」

読了。
ビューゴー賞/ネビュラ賞受賞作品。この2賞を取ってる作品には間違いなくハズレが無いな。
これは人類の敵たるハガーとの戦いを背景に、エンダー・ヴィッギンの半生…正確にはその少年にも満たない小さな男の子が歩んだ、壮大な道を描いた話である。ただ、エンダーのゲームは戦争を背景にしてはいるが題名の「ゲーム」の通り、戦争や殺し合いそのものについては極端なほど触れられない。



とはいえ、ゲームとして抽象化された戦い、そしてスクール内でのエンダーの特異性とそれによって起こるトラブルはこの話をワクワクしながら読ませるに十分な力を与えてくれている。

彼は物語の最初から最後まで、彼は彼自身の持つ特出した力が引き起こす過剰防衛について一貫して以下のような思いを抱きつづける。
「ぼくは彼(ら)を傷つけたくなかった!ぼくは誰も傷つけたくなんてなかったんだ!」
そして、それゆえに彼はハガーを滅ぼす人類の切り札になりえたことには大きな皮肉が感じられる。