読了。
一巻がまるごとプロローグという、完全に読者の予想を越えた展開が特徴的な意欲作。
主人公のダメな日常を描く作品かと思わせておきながら突然28日後式の感染型ゾンビパニックものになるという急展開っぷりは、あらかじめどういう作品か知らずに「面白いらしい」という評価だけを聞いて読んでた私には大混乱だった。軽軽しく使える手法ではないが、ゾンビものの混乱のうちに事態が進展してゆくという状況をうまく表現していると思う。
一度、ゾンビパニックのパートに突入してからは圧倒的に主人公を突き落とすような展開も、計算のうちだと思われる。そして、見事にそれにはめられた。リアルタイムで連載を追っていたら、とても衝撃的だったことだろう。
ゾンビパニック単体としてみても緊張感に溢れている出来で、続きが気になる作品。
この手の作品は下手に引き延ばすと非日常に混乱するという最大の売りが薄れていくので、あとに２，３巻くらい完結させておくと全体を通して素晴らしい作品になる気がする。
ドラゴンヘッドとか彼岸島とか、悲しい前例もあるし。
作品内の２ちゃんねるのゾンビスレが、実に２ちゃんねるらしいのノリでいい味を出している。
たぶん本当にゾンビが発生してもこれはリアルに出現する状況だと断言できる。
