カメラを止めるな

視聴。
以下完全にネタバレ。
シーンとシーンを切り替える箇所が1つもない長回しで構成されたゾンビ映画。と思わせておいてその長回しを成立させるためのドタバタを描くという作品。
長回しになっているゾンビ映画はそれ単体評価できるレベルだが、あからさまな伏線ではなく少々演出が下手だなと感じさせる点がある。これは現代人が多くの物語に触れているからこそ感じられるもので、そこを後半パートで回収する伏線にしているのはアイディアは面白い。また、これがあからさまな伏線ではなく予想外の伏線回収につながられているのは、前半がそれのみでも成立しうるクオリティを持っているからこそ。
だが本作はアイディアの面白さよりもそれをうまく活かす演出のほうが面白さの主たる泉源になっていると思う。このアイディアで作品を作ったときに「カメラを止めるな」ほど面白くするのは難しいのではないか。
(後半の舞台裏パートを見た上でもういちど前半を見たくなるという仕掛けは完全にアイディ側のみで成立しているが)
コレ系の作品にバックステージ物というジャンル名があるように、劇中劇の舞台裏を描くというのはそんな"誰も思いつかない"ようなアイディアでもなく、実はネタバレしたから致命的に面白さが落ちるという作品ではないと思う。
あと、予算が300万円ほどの低予算作品だということだがキャストの演技レベルも高いし、シーン展開にもクオリティの低さはまったく感じない。
各所で話題になっていて期待値を上げてきたが、そのハードルをちゃんと超えてきた作品。
だが期待値をむやみに上げまくるとそれを越せるかは怪しくなると思う。