東京クロノス

クリア。
OculusGoなどのVR媒体でリリースされたノベルゲーム。10時間は超えるボリューム。
クロノス世界と呼ばれる無人の渋谷に見える閉鎖空間から脱出すべく、そこに閉じ込められた8人+アルファの中から「犯人」を探していくというストーリーになっている。
一般的なゲームと比較して特別に高い水準のものではないが、VRという媒体では数少ないフルボリュームのゲーム(コンシューマ向けゲームと比較しても、プレイ時間で劣らないという意味で)。ユーザーインターフェース、メニュー構成などが「ちゃんとしている」点や、ノベルゲーと3Dアニメの良いところ取りを出来ているキャラクターモーションや、空中に浮かぶインターフェースの動き方なども、こういうゲームの先例の少なさを考えるととても高い完成度だ。また、鏡を目の前にして誰の目線で物語を語るのかを切り替えるザッピングの演出や、VRならではのザッピングによって文字通り「別の視界から」世界を眺められるようになるのもいい。
作品内容としては完全なノベルゲーでゲームとしてのメカニクスはほぼ完全に無い。別にそういう形式のコンテンツが悪いわけではないので、これは評価対象外。
グラフィックはいいが、キャラクターの大きさがちゃんと調整できてない……かと思ったが別の記事を見るとこれは意図的に大きくして、表情などを読み取りやすくしているとのこと。だとしても近距離になったときに大きすぎるように見えて不自然なので調整不足であることは否めない。
シナリオは完全に駄目なわけではないが、そもそもクロノス世界にあまり魅力がなかったり人物の行動理由が不自然など荒が多い。それを補う突出した魅力があるわけでもなく並以下。ここがこのゲームで一番足を引っ張っている点だと思う。これが他の漫画や小説と並べて評価されるならAmazonレビューで星3弱くらいになりそうに思う。
オープニング、エンディングはVRを活用したデモになっていて、魅力あるシーンに仕上がっている。
・サブチャプターのエンディングが、かつて幼馴染が集まっていた「屋上遊園地」モチーフだというのは、気持ちい演出だった。
・とりわけ目新しいわけではないが、2周目で1周目のはっきりしない謎を回収していくストーリー分岐は裏がわかってよい演出。
・Alternate Ending エンディングではるか上空までスタッフロールが見えているというのはハッとさせられるインパクトがあっていい。
・エンディング直前にプレイヤーに語りかけるシーン要る?別にそういう伏線とかなかったのに唐突すぎて、特にそれをやる意味も感じない。