清涼院流水 旧約探偵神話「ジョーカー」感想

読了。
 コズミックの次に出た小説。
 例に漏れず厚い。というか、コズミック以上の厚さだ。
 この人の作品を読むのは二作目だが、分かった事がある。この人は文章や展開、構成が異常に高いレベルにあるにも関わらず、かかわらずぅぅっ!!何故か謎解きが今ひとつなのだ。
 まず第一に、解けない謎に「この謎は解けません」という解答を出すな!ふざけんな!!さらにっ、ちゃんと結論を出せ!引っ張って引っ張ってその先にこの結論だと、完読感が悪くなる。
 とはいえ、こんな文句を言うのもこの小説が素晴らしい出来だからだ。駄作には悪い評価すらして貰えない。事件中に、その事件を小説としてまとめるという構成。そして、あえて「目次」を無くしてまで求められた、何章まで続くか判らない感。そしてジョーカーという一冊の本を虚構の物語として完結させない構成。
 この一冊は、まさに一つの芸術作品として完成されているのだ。
 良くも悪くもね。